そこで、基礎の種類について少しお話したいと思います。
基礎は地盤強度と密接な関係にある事は皆様も承知の通りです。
基礎を支持する形は2種類あると思います。
第一は直接基礎工法。
これは地盤の地耐力が強く、地盤の上に直接基礎をのせる施工法です。
第二に杭及び地盤改良工法です。
表層面地盤の地耐力が弱い為に地耐力を増す改良補強をしたり、
地耐力の出る層まで杭を打ち込み、その上に基礎をのせる施工法。
上記は建築物にとって一番大切な部分です。
地盤が強固でなければその上での建築物は成り立ちません。
そこを調査計算の上本来の基礎が施工できます。
次に本題の基礎の種類に入っていきます。
基礎には布基礎、独立基礎、ベタ基礎といった大きく三種類だと思います。
そのうちで、木造住宅基礎として用いられるのが主に布基礎、ベタ基礎の2種が多いようです。
布基礎、ベタ基礎の違いを少し整理いたします。
布基礎は地盤の接地圧をフーチングという底盤で処理している(接地面が少ない)
ベタ基礎は地盤面との接地圧を平板(床全体)で処理している(接地面が多い)
布基礎とベタ基礎の違い
布基礎 | ベタ基礎 | |
地盤の接地面積 | フーチング部分の為小さい | 1階建物部分全体の為大きい |
不同沈下の影響 | やや心配 | 布基礎に比べて安心 |
耐震性 | 力の伝達方法の違いの為 | 2種類とも構造計算にてする |
耐久性 | 普通 | 布基礎より安心 |
床組に対する防湿 |
防湿シートと厚50ミリ程度の コンクリートにて処理 |
防湿シートと底盤コンクリート にて処理。布基礎より安心。 |
白蟻に対する影響 | ↑ | ↑ |
コスト面 |
コンクリート・鉄筋量が少ない為 割安 |
コンクリート鉄筋の量が多い分 割高 |
布基礎 2種類の施工方法があります
2度打ち工法 | 一体打ち工法 |
コンクリートを2回に分けて打つ施工法 | コンクリートを1回で打つ施工法 |
地中に打継ぎ部が入り、鉄筋の腐食や白蟻侵入の可能性が高く、打ち継ぎ部分が体力的にも一体打ちより弱い
|
打継ぎがない為、鉄筋の腐食が無く耐力的にも二度打ちより強い。コスト面が少し割高 |
ベタ基礎にも2種類の施工方法があります
2度打ち工法 | 一体打ち工法 |
コンクリートを2回に分けて打つ施工法 | コンクリートを1回で打つ施工法 |
打継ぎ部からの水の侵入や白蟻の侵入の可能性が高い。 また、鉄筋の腐食や施工時の金物腐食もある。耐力的にも 一体打ちより弱い。 |
打継ぎが無い為、二度打ちの問題点を解消している。 強度は二度打ちの1.4倍。 コスト面は二度打ちに比べ少し割高。 |
基礎の違いを総合的に見ると、安心して住宅づくりをするには、ベタ基礎の一体打ちが理想的な施工方法と考えられます。
コスト的に少し割高になりますが、一般的に使用されている基礎の12%~15%程度の差で収まります。
この基礎の価格は、住宅全体の費用の坪当たり40万円の家も100万円の家も基礎の施工面積が一緒なら価格は変わりません。
なぜなら、基礎のに使用される鉄筋・コンクリートの品質が設計上ほぼ一定化されているため、価格に差が出ないのです。
(例えば、住宅全体の費用が1000万の家も5000万の家も基礎面積が70㎡程度とすると、110万程度の基礎工事費と考えられます。)
マイホーム新築時の基礎に対する認識を少し考えなおしていただけば、一番に基礎を知ることが大切かと思います。
設計士さんや工務店さんハウスメーカーさんの打ち合わせの内で基礎の詳細説明はあまりされていないように思われます。
一生涯の財産作りの家です。お施主様が自分の目と耳で知識を得て頂き、マイホーム造りに夢を乗せる頂ければと思います。
以上、基礎についての私の見識を少し語ってみました。参考になれば幸いです。